やさしい人に保護されたのは、
小さな黒猫の子猫さん。
まだ体は細く、目つきも鋭い。
外の過酷な暮らしがそうさせてしまったのでしょう。
安全な場所に連れてこられても、
なかなか心を開けない様子。
食事を差し出されても「シャーッ!」
全力で威嚇してしまいます。
ミルクをあげようとした人も
思わずたじろぐほどの勢い。
でも、そっと差し出されたミルクを
ひとくちだけ舐めてみると……
ぺろ、ぺろぺろ…。
何度も味わうように、丁寧に口を動かします。
そのとき、目つきがふっとやわらかくなるのです。
「美味しい。怖くないかも?」
そんな声が聞こえてきそうな、わずかな変化。
優しさを感じた瞬間だったのかもしれません。
今はまだ、ぎこちない距離感かもしれないけれど、
少しずつ、信じることを覚えてくれるといいなと思います。
この子が安心して暮らせる家族と出会えますように。