ヤマネコWildcat

ヤマネコ
猫種 ヤマネコ
英語表記 Wildcat
ボディータイプ ※個体によって様々
毛種 ※個体によって様々
体重 ※個体によって様々
平均寿命 ※個体によって様々

ヤマネコの特徴

ヤマネコ(山猫)は食肉目ネコ科に分類される小型動物を指す呼称です。かつては「ヤマネコ」といえば野猫、つまり家の中で人と暮らすイエネコだった個体が再野生化したものを指すことが多かったようですが、基本的には家畜化されてない野生個体のことを指します。ヤマネコは世界中に存在しており、体格、被毛の色、毛柄などにおいてとてもバリエーション豊かですが、東アジア系、ヨーロッパ系、南アメリカ系に大別されています。日本において現生するヤマネコは対馬のツシマヤマネコと西表島のイリオモテヤマネコの2種のみとなっています。ツシマヤマネコの身体的特徴は、額に黒と白の縦じまがあること、耳後ろに白い斑点模様があること、尾が太いことなどが挙げられます。イリオモテヤマネコの身体的特徴は額に黒と白の縦じまがあること、耳後ろに白い斑点模様があること、尾が太いこと、目の周りに白い線状の模様があること、胴長短足の体型などが挙げられます。

ヤマネコの性格

長崎県対馬に生息するツシマヤマネコは非常に警戒心の強い性格であることが知られています。野生動物ですので、用心深く、人気(ひとけ)を避けて行動します。夜行性のため、基本は日没~明け方にかけて活動しますが、人気(ひとけ)の少ない場所であれば日中に活動する姿が観察されることもあるようです。沖縄県の西表島に生息するイリオモテヤマネコは非常に警戒心の強い生き物です。人が近寄るとすぐに逃げていってしまいます。生息域である森を歩いていたとしても優れた聴覚と嗅覚により素早く侵入者の気配に気付き、遠くへと去ってしまうでしょう。夜行性で、昼間には木の洞や岩穴などで休んでいます。ネコ科の生き物にしては珍しく水を苦手としないため、水辺で遊んだり泳いだりすることもあるようです。

ヤマネコの飼い方

ツシマヤマネコは、体長50~80cm、体重3~5㎏、寿命8~10年とされています。メスは定住性が強く行動範囲は1~2㎞程度ですが、代わりにオスは活動範囲が広く7~8㎞もの範囲を移動すると言われています。食性は完全肉食で、年間の6~8割をネズミやモグラを食べており、他には鳥、昆虫、爬虫類、カエルなど季節によって様々なものを食べて過ごしています。森林伐採などによる生息域の減少、食べ物であるネズミなどの小動物の減少などによって生息数が減少しています。イリオモテヤマネコは、体長50~60cm、体重3~5㎏、寿命10年未満とされています。西表島にのみ生息する固有亜種です。西表島は290㎡ほどの面積しかなく、ヤマネコの住む島としては世界最小サイズの島であることが知られています。単独性ですが、なわばりを持つことが出来る定住個体となわばりを持つことが出来ない放浪個体が存在します。基本的に若い個体が放浪個体となり、なわばりが空くのを待ちながら生活しているようです。食性は肉食ですが西表島にはヤマネコの主食であるネズミやウサギなどの小型哺乳類が元来生息しておらず、そのため鳥類、爬虫類、両生類、魚類など幅広い生物を捕食して生活しています。

ヤマネコの歴史・起源・生態

ツシマヤマネコの分布域はモンゴル、中国大陸北部、東シベリア(アムール川流域)、朝鮮半島、対馬です。アムールヤマネコという別名で呼ばれることもあります。日本には、約10万年前に当時陸続きだった大陸から渡ってきたと考えられています。1971年には国の天然記念物に指定されました。急傾斜地を避けて、標高が 200m 以下の低い地域の落葉広葉樹林や草地を中心に生息しています。1960年代までは対馬の全域に生息していたとされていますが、生息域の減少・悪化や交通事故、イエネコとの競合などにより生息数が減少し、現在の個体数は90~100頭程度と推定されています。保護活動が進められている現在でも依然として絶滅が危惧されている動物となっています。イリオモテヤマネコは日本の西表島にのみ生息する動物です。標高200m以下の亜熱帯・暖帯の森林に生息しており、河川の周辺などを好みます。1977年に国の天然記念物に指定されています。現在の個体数は100頭程度と推定されており、保護のため西表島では様々な対策が進んでいます。交通事故を防止するため、道路の下に動物用のトンネルを設置したり、飛び出し注意の道路標識を導入したり、イリオモテヤマネコの目撃情報をもとに「イリオモテヤマネコ運転注意マップ」を毎月発行するなど、様々な工夫を凝らしながらこの希少な固有種を保護するための努力が行われています。

ヤマネコの気を付けたい病気

FIP、FIV、アルツハイマー病など

ヤマネコの一口メモ

ツシマヤマネコ・イリオモテヤマネコは国の天然記念物に指定されており、一般家庭でペットとして飼育することは出来ません。ツシマヤマネコを飼育している飼育園館は、現在日本に8か所存在します。井の頭文化公園、よこはま動物園、富士ファミリーパーク、東山動物園、京都動物園、福岡市動物園、九十九島動植物園、沖縄こどもの国となっています。イリオモテヤマネコを飼育した実績のある施設はいくつか存在しますが、現在は生体を飼育展示している動物園は存在しないようです。残念ながら生体は見学できないものの、西表野生生物保護センターはイリオモテヤマネコの保護活動の拠点となっており、センター内の展示を見学することが出来ます。スタッフによる詳しい解説を聞くことも出来るようですので、関心がある場合には訪れてみるのも良いでしょう。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師もも
獣医師もも
北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。

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